ジェンダーワイズ

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アイルランドの同性婚投票と、それに見る反応について

 アイルランド、同性婚めぐり世界初の国民投票 「賛成」多数の情勢

 カトリック教徒が多数を占めるアイルランドで22日、同性婚を認める憲法改正の是非を問う世界初の国民投票が行われ、23日に開票作業が行われた。現地メディアは同日中に予定される開票結果の発表を待たず、賛成票が反対票を大幅に上回っているとして、「同性婚が認められる方向」(アイリッシュ・タイムズ紙電子版)と報じた。

 何にしても同性婚が認められることはいいことだが、アイルランドと言う国は、宗教をベースとした性規範の厳しい国で、1995年まで離婚が禁止されていたのだ。また、堕胎も原則的に禁止。だから、物凄い革命的なことなのだ。アイルランドでこのような結果になったということは、今後も続々と認可される国が増えるのではないか。
 ちなみに現在、同性婚が認められている国はウキペディアによると下記の通り。
 同性結婚 - Wikipedia

 人権意識の高いヨーロッパではかなり普及してきている。
 では日本は・・、といえば、まだまだ道のりは長いのかと思う。渋谷区でパートナーシップ条例として、同性愛者に結婚相当の関係を公式に認める証明書を発行する、として話題になったけれども、あくまで、証明書を発行するだけであって、婚姻としての権利が認められるわけではない。相続権、税制の優遇などは受けられないし、家のローンを組む際の連帯保証人になれなかったり、保険の受取人になれなかったり、戸籍上の身内ではないということで、病院の集中治療室に入れなかったりする。いかに夫婦というものが優遇を受けてるかということだ。
 したがって、「結婚」という紙切れにこだわらなくたっていいでしょう、という意見もあるが、夫婦として認められないことで上記にあげたような不都合が色々あるので、婚姻は認められるべきである。

 同性愛者というのは、全世界どこの国においても、ある一定のシェアで存在するという。20%とも5%とも色々聞く。少なくとも、ゲイ、レズ問わず、私もこれまでの人生で知り合いで何人いるし、2丁目のゲイバーもよく行っているが実に乙女な可愛いゲイをたくさん見てきた。カミングアウトする人が増えてきた、ということ。
 よって、同性愛について許容する意見も多くなってきているように思う。上記のヤフー記事でもコメントが付いているが、おおむね許容している傾向。ただし、認めたくない、という人もいるし、自分の息子だったらショックである、という感情を持つ人もあるようだ。

 一つ、私が面白いな、という意見を見つけた。それは以下。

自分はあまり理解できないが、いろんな考え方、思考も有ろうから別に良いんじゃないかとは思う。
ただ必要以上に声高に叫んで、理解できない奴は遅れてるとか言うのはちょっと違う気がする。

  つまり「遅れている」「時代錯誤」と指摘されることに、嫌悪やストレスを感じるということだ。そういったコメントがいくつかあった。同性愛者に権利を与えること自体、正論なのは頭でわかっている。しかし、腑に落ちない感、何かが納得できておらず、ちょっと立ち止まっていることに対し、そばでガミガミ叫ばないでほしい、ということなのだろう。真っ向から反対しているわけではない。なぜなら理論武装しているわけでもない。言うなれば積極的反対ではないから、消極的反対に近いかもしれない。でも、遅れているとは思われたくない。グレーなので、ちょっとしたことで、反対に傾くかもしれないし、賛成に傾くかもしれない。
 なるほど、こういう嫌悪感や、言うなれば時代に取り残されてしまう恐怖感を持つ人がいるとは思っていなかった。目からうろこだ。

 いろいろな権利を求める活動をしていて、正しいことなのに説得できないことにやるせなさを感じている人も多いかと思う。しかし受け手にとっては、正論は時に抑圧的に働き、「遅れている」と思われては嫌だ、というプライドが思考の邪魔をする。いくら理路整然と正論を通そうとしても、「あんた遅れているね」と言ったとたんに反対派にまわってしまうかもしれない。それとも、遅れていると思われるのは恥だから、強迫観念を感じながら同調しようと思うかもしれない。まずは、嫌悪感や恐怖感を取り除きつつ、グレーな人達の同意をどうやって漕ぎつけたらいいのか、色々策を練っていかないといけないのかもしれない。